一語一映Ⅲ

高知市の美容室リグレッタの八木勝二が、映画や本のこと、ランチなど綴ります。

ママに見て欲しい子どもたちが主人公の映画20選⑦「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」レビュー

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プロローグ 

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中1終わりから映画好きになり、洋画・邦画を問わずに映画館通い。

映画もDVDやテレビで過去の名作が簡単に見られる時代になりました。

映画館もフィルムからデジタルへ移行して、どんどん進化していますが、中でも映画で昔から描かれる普遍のものは「親子の愛」です。

推定6,000本観た映画の中から、ママたちに観ていただきたい名作を毎回1本ご紹介します。

ご紹介する映画はDVDレンタルでご覧いただけるものから、選んでいます。

公認映画検定2級・美容室リグレッタ・オーナー/八木勝二

 7.【マイライフ・アズ・ア・ドッグ】

 

1985年作品、スウェーデン映画、101分

監督・脚本=ラッセ・ハルストレム、撮影=イェリエン・ペルション、美術=ラッセ・ヴェストフェルト、音楽=ビョルン・イスフェルト

出演=アントン・グランセリウス、メリンダ・キンナマン、アンキ・リデン、トーマス・フォン・ブレムセン、マンフレド・セルネル

(ストーリー)

主人公のイングマル少年は、兄と病気の母親、愛犬シッカンと暮らしている。父親は仕事で南洋の海に出かけたままずっと帰ってこない。人工衛星に乗せられて地球最初の宇宙旅行者になったあのライカ犬の運命を思えば、どんな事だってたいしたことはないと考えるのが彼の人生哲学だ。

やがて夏になり、母親の病状が悪化。イングマルは一人、田舎に住む叔父の元に預けられることになる。その村の住人は、一風変わった人ばかり。街に置いてきたシッカンのことが気になるものの、男の子のふりをしている女の子・サガとも仲良くなり、毎日を楽しく過ごすイングマルだったが…。

(鑑賞)

この映画を何と例えよう?見たこともない世界観の映画でした。

1957年のソ連のスクープトニック・ショックの頃の映画です。映画を調べていてはじめてわかったのですが、この映画で出てくる「 僕の人生は、人工衛星に満足な餌も与えられずに乗せられたライカ犬よりもましだ」

という人生哲学は、ちょうど僕が生まれた1957年の11月7日の4日前のソ連の人工衛星スクープトニック2号が飛んだ時代の映画であるということです。僕が長男なのに、勝二と二が名前についているのは「人工衛星の2号が飛んだ日に生まれたからだ」と父親に言われていたことを思い出すのに、懐かしすぎる事実であったことを教えてくれた映画だったのです。 

その頃つまり昭和32年のスウェーデンの寒村での出来事を淡々とユーモラスに描いた映画です。

父の不在、母は病気で入院生活、かわいがっていた犬は預けられ(あとで死んでいることが分かります)、自身は兄と離れておじさんの所へ行きます。

その村で起こること、出会う人たち、これらが全て奇跡のように丁寧に描かれていて、その様子は昔の日本の村コミュニティを想起させるものです。

初めは慣れなかったイングマルも自然と馴染んで行き、村の子どもたちと交わり、スポーツに講じたり恋をしたり。

もともとおねょしょをしたり、緊張すると手が言うことを利かなくなったり、自分が抑えられなくなったりと、「難しい少年」だったイングマルが、村の少年や大人たちとの交流の中で笑顔も取り戻して行きます。

いくつかのエピソードの中にちょっぴり性的なにおいがするのも、少年の成長物語としては納得ができます。男の子ってそういうものです。

子どもの頃って異性にこんな思いで接していて、大人とはこんなだったな、という思いが見事に描写されています。うまい。

悲惨な恵まれない子どもの映画なのに全編ユーモラスなのは、監督の目が人生に肯定的だからでしょう。

揺れ動く子どもの心を見事に捉えた珍しいパターンの傑作映画です。

子どもには肯定的に接しよう、そんな風に感じる映画ですよ。

この作品を撮ったラッセ・ハルストレム監督は、この後『やかまし村の子どもたち』2部作や、『ギルバート・グレイプ』など、子どもの心を巧みに表現している映画があります。最近ではヒットしている『僕のワンダフル・ライフ』が名作です。

これらの作品をお気に入りになられた方には、本作もお勧め映画としてお知らせしたいと思います。

このシリーズの記事

 

「ベイビー・トーク」

「運動靴と赤い金魚」

「クリスマス・ツリー」

「ネバーエンディングストーリー」

「ペーパー・ムーン」

「二十四の瞳」

  

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