一語一映Ⅲ

高知市の美容室リグレッタの八木勝二が、映画や本のこと、ランチなど綴ります。

ママに見て欲しい子どもたちが主人公の映画20選②「運動靴と赤い金魚」レビュー

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イランの映画です。

1997年 イラン映画 88分

監督・脚本=マジッド・マジディ

出演=アリ=ファロク・ハシェミアン、

   ザーラ=ハバレ・セッデキ、

   アリの父:アミル・ナージ

イラン映画では宗教上の理由で、大人同士のやり取りを映画化することができません。どうしても主人公が子どもとなり、子どもを巡る物語にして、そこに大人を絡ませるという手法を取らざるを得ません。
イラン映画に全部子どもを描く名作が多いのは、偶然ではないわけです。 

 ストーリー   

イランのの貧しい家で暮らす少年アリは、妹ザーラの靴を修理してもらった帰りにその靴を失くしてしまう。新たに靴を買う金もない親に知れるのを恐れた彼は、失くしたことを親に告げぬようザーラに頼み、兄妹はアリの運動靴を2人で共有しなければならなくなる。

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朝はザーラが運動靴を履いて登校し、昼はアリがサンダルで学校の近くまで行き、下校途中のザーラと互いの靴を交換して学校へ行く毎日。そんな日が続いたある日、町で学校大会のマラソン大会が実施されることになる。そしてその3位の商品はなんと運動靴!うっかり予選に出場しそびれたアリだったが、先生に絶対勝つと強く誓って、テストしてもらい出場の権利を得る。そして当日・・・

 鑑賞です

※繰り返しになりますが、イラン映画では宗教上の理由でか、子どもが主人公の映画が多いです。子どもたちの目から見た社会を描くことにおいてはイラン映画は世界一かもしれません。

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この映画は、ちょっと変わった邦題ですね。「運動靴と赤い金魚」、どういう意味なんでしょう?僕は偶然入った東京のミニシアターでこの映画に出会いました。運動靴=靴は「生活必需品」という重要な役割であり、赤い金魚は、兄妹が暮らす集合住宅の中庭にある唯一の憩いの場の円形の池の中の自由と囚われの象徴です。

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制限された区域で生きる子どもたちですが、美しい姿で懸命に生きている姿がぴったりなタイトルだと思います。

無くなってしまった妹の靴 

ファーストシーンからいいです。履きつぶして破れ、色が褪せた小さな赤い靴を接着剤で補修し、さらに縫い上げて修繕する場面から始まります。延々と地味な作業が映し出され、かわりばえのしない日常の映画ですよと、メッセージを受け取ります。

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この赤い靴は妹ザーラが毎日学校へ履いていく唯一の靴でしたが、兄アリは修理されたこの靴を持ったまま、食事の買い物を頼まれた食料品店の店先に靴をが入った袋を置いてしまいます。

それが偶然廃品回収の車に積まれ、袋は姿を消してしまいます。

毎日靴の交換をして登校

ここからが健気なんですよ。妹は兄は学校が午前中にあるので、途中で待ち合わせて、午後からある兄と靴を交換して学校に登校します。

でもいつも遅刻なんです。

見つかったら先生の厳しいこと、厳しいこと。

これもイランのお国柄。

賢いアリは現金収入を得るため、都会の邸宅で庭師のアルバイトを父親と試みます。機知を利かせて仕事を取る様はユーモラスです。父親もただのだらしない父親かと思っていると、ラストシーンでそうでないこと教えてくれます。

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 無くした靴が見つけたところも実に泣かせます。イランの格差社会の現実を見るようです。無くした靴を廃品回収から買い取って履いていた女の子の父親は、目の不自由な障がいを抱えた優しい父親なのでした。このあたりの視線がとてもやさしい映画です。

マラソン大会の3等の商品が、「運動靴」 

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ハイライトは3等賞の賞品の運動靴を目指してマラソンに参加するアリの姿です。

そして懸命に走るアリの姿に胸を打たれます。とても迫力のある緊迫した画面です。にこの競争シーンは最後までハラハラさせられます。

意外な結果に終わりますが、それもラストのハッピーエンドに向かうための前触れだと思えば、残酷なようですが、いい結果だったのですね。 

子どもたちの健気なふるまい、両親たちの慎ましくも懸命に生きる姿、70年ぐらい前の日本もこうだったんでしょうね。ぜひご覧ください。 

運動靴と赤い金魚 (字幕版)

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