一語一映Ⅲ

高知市の美容室リグレッタの八木勝二が、映画や本のこと、ランチなど綴ります。

ママに見て欲しい子どもたちが主人公の映画20選⑨「ペイフォワード可能の王国」レビュー

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9.【ペイ・フォワード 可能の王国】

2000年アメリカ映画・ワーナー・ブラザーズ映画、123分

監督=ミミ・レダー、脚本=レスリー・ディクソン

出演=ハーレイ・ジョエル・オスメント、ケヴィン・スペイシー、ヘレン・ハント

(ストーリー)

ラスベガスに住むアルコール依存症の母と、家を出て行った家庭内暴力を振るう父との間に生まれた、少年トレバー。

中学1年生(アメリカでは7年生)になったばかりの彼は、社会科の最初の授業で、担当のシモネット先生と出会う。先生は「もし自分の手で世界を変えたいと思ったら、何をする?」という課題を生徒たちに与える。生徒達のほとんどは、いかにも子供らしいアイディアしか提案できなかったが、トレバーは違った。彼の提案した考えは、「ペイ・フォワード」。自分が受けた善意や思いやりを、その相手に返すのではなく、別の3人に渡すというものだ。

トレバーはこれを実践するため、“渡す”相手を探す。仕事に就かない薬物中毒の男、シモネット先生、いじめられている同級生…。 いろいろと試みるものの、なかなかうまくいかず、「ペイ・フォワードは失敗だったのではないか」とトレバーは思い始める。しかし、トレバーの気づかないところで、このバトンは次々に受け渡されていた。

(鑑賞)

あなたの一番好きな映画は?と聞いたときに「ペイ・フォワード」です、という人が複数居らしたので、どんな映画化と興味を持ちました。この頃はプライベートでは「子育て真っ最中」の時期で、映画を最も見ていない時期なんです。

タイトルからして感動しそうなものですよね、「ペイ・フォワード」=無償の愛を与えよ、という感じでしょ?それに「可能の王国」と来たら、なんかしらくさい感動ものだと思ってしまったので見てなかったのです。これは本心で、日本語タイトルで損する映画のひとつではないだろうかと思っています。

 

今回このコラムを書くに当たり、初めて見てみました。

物語がふた筋進みます。
ひとつは、トレバーが社会の教師に与えられた課題から、無償のいいことを3人にしてあげる輪を思いつき、実践していく物語です。

これは、学校のいじめられっ子に、社会復帰したいホームレスの男性に、そして父親の暴力で苦しむ大好きな母親に向けられます。

 

もうひとつの筋は、新聞記者の「ペイ・フォワード」の追跡物語です。自分自身が買ったばかりの高級車を事故で失った直後、それ以上の新車の高級車を見知らぬ紳士からもらうという不思議な体験をして、「ペイ・フォワード」の運動の輪を知り、それを追跡していくという筋道です。

だんだんとトレバーの周辺に近づいていきます。

監督ミミ・レダーのまなざしはあくまでもみんなに優しく、心に染み入ります。善意の輪という信じられない物語を成り立たせてしまう力をこの映画は持っていました。

ふたつの筋はラスト近くにひとつに収れんしていきます。

心に傷を負った人たちが、善意を持つこと=人を信じることで立ち直っていき、幸せをつかんでいくのです。

母親はアルコール中毒から抜け出せ、子どもの頃に受けた親からの虐待のため人に心を開けなくなっていた社会科教師をも心開かせ、母親と結ばれます。

ホームレスの男性も仕事を見つけ、立ち直っていくのです。

そして、「ペイ・フォワード」の発信地がトレバーだと分かり、テレビに出演してインタビューを受けるシーンで、ふたつのストーリーはまとまります。

その直後、いじめられっ子が殴られている現場にトレバーが勇気を振り絞って向かうシーンで、3つめの「ペイ・フォワード」は失敗したかに思えますが、その直後、奇跡的な出来事が起こります。
それはご覧になってのお楽しみです。
ラストシーンがこの映画を「好きな映画ベスト1」に上げる人たちの感動したポイントなんだな、と理解できました。

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