一語一映Ⅲ

高知市の美容室リグレッタの八木勝二が、映画や本のこと、ランチなど綴ります。

昭和の映画レビュー 「斬る」「徳川セックス禁止令 色情大名」「シュア・シング」


★★★★★・・・なにを置いてもレンタル店へ走ろう ←新設しました
★★★★・・・絶対オススメ 
★★★・・・一見の価値あり
★★・・・悪くはないけれど・・ 
★・・・私は薦めない 
☆・・・おまけ

※本編の内容に触れる個所がありますから、観られていない方は、ご注意ください。


『斬る』

1962年 大映作品、71分
原作・柴田練三郎、脚色・新藤兼人、監督・三隅研二、主演・市川雷蔵という
当代切っての名手が集って完成させた、孤高の剣士の物語です。

オープニングから、テンポよくストーリーが展開して生きますが
冒頭の姫君暗殺のシーン、その直後の犯人・藤村志保の処刑シーン
走る駕籠から子どもを誘拐するシーンとたたみかけ、緊張感あふれるシーンから
突然のんびりしたシーンでほんのりさせる技は、その後の急展開な悲劇的ドラマを
引き立たせるための複線であったとは、計算しつくされた脚本の展開です。

眠狂四郎のトリオですから、虚無と孤高の剣士というムードはぴか一で、
悲劇的ラストを予想させますが、それを上回って、きれいなのは三隅美学と極致とでも
いえそうなほどの映像です。このトリオ以外ではこの作品は作りえませんね。
71分と短いですが、見所は満載です。★★★


『徳川セックス禁止令 色情大名』

1972年 東映映画 89分 
「トラック野郎」シリーズや「パンツの穴」など、ナンセンスでちょっぴりエッチで笑えて
しんみりして、楽しめる映画を撮り続けてきた鈴木則文監督は、ちょっと前には東映の
過激な題名で知られる、コメディポルノ時代劇を撮っていた時期がありました。

まあ、タイトルからしてぶっ飛んでいますが、日活のロマンポルノとは違って
基本笑いが中心なポルノ形態ですから、見ていて飽きません。
ただし、行為そのものよりも、ただもの裸のシーンが多く、脱いでいる女優さんの数は半端ないです。

しかしよくもこんなストーリー展開を考え付くなあというほど、荒唐無稽であり
でも見せ所は抑えていて、悲恋もあり涙も搾り取れば、笑いも満載という鈴木監督ならではの
職人芸が見られます。

タイトルにおびえず、見てみてください。なかなか面白いです。★★★


『シュア・シング』

1985年 アメリカ映画 95分
監督・ロブ・ライナー、主演・ジョン・キューザック、ダフニ・ズーニガ

「スタンド・バイ・ミー」のロブ・ライナー監督の青春ロードムービーです。
大学に進学したキューザックは、カリフォルニアにいるという「シュア・シング」
(簡単にオーケーしてくれる女の子)を求めて、ヒッチハイクのたびに出る。
偶然、同じ大学の美女ズニーガもカリフォルニアに彼に会いに出かけることになり
ふたりのいがみ合い道中が始まります。

18歳の欲求と純情を素直に表現し、とてもさわやかで等身大なラブストーリーに仕上がりました。
あまり当時騒がれなかった映画ですが、当代切っての演技派で人気のジョン・キューザックの
若き日の演技が見られるのも一興です。

10代の心のふれあいってこんなものだったのかと改めて振り返りたくなりますね。★★★