【手塚治虫を読む】その14 「W3-ワンダースリー-」レビュー
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「手塚治虫さん100」をスタート
これは、我が家のある部屋にある本棚です。
細かくて見にくいかと思われますが、全部手塚治虫さんの作品です。
講談社から出ている「手塚治虫全集400巻」を全巻揃えています。
それ以外のバージョン違いも多くそろえていますから、僕の宝物の本棚といえるでしょう。
大好きな手塚治虫さんの作品を100作品取り上げてみたいという、自分で言うのもなんですが、かなり壮大なる企画です。
①改めて読み返して感じたことをつづります。
②できるだけ、発行当時の表紙を写真で公開してみたいと思います。
③印象に残るシーンやページを載せます。
・・・本当はこの連載の第一回に書いていた文章なんです。
リライトする時に第一回の前文が抜けていたのです。ですから新連載を機にここに掲載しておきます。
W3と書いてワンダースリー
さてそれでは今回は「W3(ワンダースリー)」です。
はじまり、はじまり。
《第1巻の表紙》
この作品は少年サンデーに昭和41年から連載されました。
少年マガジンが「あしたのジョー」と「巨人の星」「天才バカボン」で大ブレイクする少し前の作品です。 定価250円。
当時のコミックスは230ページから250ページで1冊で、240円か250円が相場という頃ですね。1ページがほぼ1円・・・
僕は小学校の4年生ぐらいです。
このサンデーコミックスの特長は、上に作品のジャンルが書かれてあるところなんです。
この「W3-ワンダースリー-」はSFコミックスと英語で書かれているのが、小学生当時は物凄くカッコいいと思えたものです。
そして飾り気のなく繊細に描かれた表紙の絵もきっとオリジナルなんです。
この表紙を見て、どれだけワクワク・ドキドキしたことか・・・です。
W3と書いて、ワンダースリーと読ませるのもカッコよかったですね。
《第2巻の表紙》
この頃では、T2といえば「ターミネーター2」、AVPなんて「エイリアンVSプレデター」なんですもんね。どんどん略されていきます。
このタイトルセンスひとつ取っても、手塚治虫さんがどれだけ進取の気質を持った方だったか分かっていただけるのではないでしょうか?
だから作品の中身は、見たこともないでも少年にとても夢を与え、わくわくさせてくれる展開が仕掛けられています。
ワンダー・スリーは宇宙の平和を守るパトロール隊員です。
戦争や争いが絶えない地球を見て、「亡ぼしてしまう方がいいのか、更生の余地があるのかを調べる必要がある。そのためには地球で疑われない動物の格好になって調べに行くのがいい」
そしてボッコ=うさぎ(隊長)、プッコ=カモ(科学技術者)、ノッコ=馬(何でも作れる技師)の3人が地球に派遣されます。動物の方が目立たない時代だったんです。
主人公・星真一は小3の元気な少年。
兄の光一は秘密組織の諜報員で、世界征服を企む組織と戦っています。ちょっと年は離れていますが、これがドラマの縦線。
横線には宇宙人W3と真一の友情物語、成長物語が織り込まれ、アクション満載(当時大ブームだったショーン・コネリーの映画007の影響ありありですね)の漫画です。
血湧き肉躍る
この乗り物。
ビッグ・ローリーといいます。
今ならすぐにおもちゃが出るでしょうね。
手塚さんの創造物かと思っていたら
こんな画像を見つけちゃいました。
1930年代のものらしいです。ホントに外だけ動いたのでしょうかね?
血湧き肉躍る、というのは当時の少年冒険もののお決まりの惹句でしたが、この漫画ほどそれを体感したものはありません。
スリルとサスペンス、アクションとミステリー、当時の少年が欲しいものはすべて「ワンダースリー」の中にありました。
もう一つのエンディング
このページがラストシーンの「もうひとつのワンダースリー」があります。
虫プロダクションは1965年当時にアニメ用の作品を企画していたが、それとそっくり同じものが他のプロダクションで企画されていることがわかり、虫プロダクションの中で産業スパイがいるのではないかという疑惑が起こった[1]。そして、虫プロダクションの社員たちの中でもその疑惑が話題になり、何人かが虫プロダクションを辞めることになった[1]。
手塚はそのアニメの企画を『W3』という名前で並行して『週刊少年マガジン』で連載することになるが、連載6回目で『週刊少年サンデー』に掲載誌を変更した。この突然の掲載誌変更が「W3事件」である。
wikiより。
ですから6回目のラストがこのシーンです。突然途切れたようになっているのは「つづく」だったからなんです。
僕は幻の「少年マガジン版」の復刻ものを持っていますが、「マガジン」より「サンデー」の方が練られて描いているように思えました。2度めだとそうなのかもしれません。
本物のラストは輪廻転生
「ワンダースリー」のラストシーンは子ども心に強烈に残りました。
ラストシーンを読んだすぐあとに、最初からすべて読み返したくなる仕掛けが在るのです。布石はなかったのか・・・と。
それらしいものは見つかりません。
最初から考えて描いたものではないのでしょうか。
極めつけは、このラストシーン。
少年漫画なのに、下手な映画以上の驚きと抒情的余韻を生むシーンです。
手塚さんの「映画大好き人間」ぶりが思いっ切り発揮された漫画です。
このラストシーンは手塚史上最大の感動シーンと言っていいのかもしれません。
おまけ
プッコが偵察してきたことを、みんなに話すシーンのコマ割りの斬新さは驚きでした。
いろんな実験をしています。
次は何を読み返そうかな・・・?
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