【手塚治虫を読む】その11 「白いパイロット」レビュー
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これは僕が12歳の時に買った「白いパイロット」の1巻です。
このころは、まだ上・下巻というよりは1巻・2巻という方が多かったですね。
小学館から発売された手塚治虫全集の1冊として、初めて触れた思い出は強烈でした。
1961年夏から1962年春まで「週刊少年サンデー」に連載されたものです。
「サンデー」では、「ナンバー7」に続く少年集団活劇SF漫画です。
12歳の時に読んで以来、47年ぶりに読み返してみて・・・・
絵は、「リボンの騎士」わ思わせる優しく丸っこいタッチですね。
少年少女ものには当時好んで使っていたタッチです。
ミグルシャ国の科学者が人間複製機械を発明して、自分のこどもを実験台にして成功した直後、悪の手先に殺されてしまいます。
その護送車に偶然通りかかった王妃は、亡くした王子の代わりにと一人を選んで連れてしまいます。すごくおとぎ話のような展開です。
そして一人はマルス王子として、一人は奴隷の子・伴大助として地下で暮らします。
そう伴と言えばヒゲオヤジの名字、囚われのヒゲオヤジの養子となるわけです。
「王子と乞食」のイメージですね。
伴と言えば、そう。
ヒゲオヤジの本名です。
12年間取れない鉄仮面をはめられて、大助はヒゲオヤジの息子として育ちます。
ここらあたりは「鉄仮面」も入ってきます。
こんな、お遊びのような実験的コマ割りを、時々手塚治虫さんは見せます。
とても斬新な映画的コマ落とし的アングルのようです。
地下の奴隷工場から脱走に成功した、大助たちは、出来たばかりの「ハリケーン号」を奪い、逃走に成功します。
そして「白いパイロット」として悪のミグルシャ帝国と闘います。
ミグルシャ=「見苦しゃ」なんでしょうかね?発想は(笑)
2ページぶち抜きの、こういう画面。
鉄腕アトムの「7つの威力」の解説を思い出します。
のちに「サイボーグ009」にも、こういう解剖図のようなものは影響しています。
こども心に、ウキウキするものなんですね。
敵のメカも、縞模様でやたら強いタイガーや、ゴムでできた戦闘機スネーク、飛行ロボット「ロボケット」、マルス王子が指揮をするモスラもどきの「13号」と少年の心をくすぐります。
ラストの結末は、複製された片方が、溶けていくところで終わります。
戦争の無意味さを描き続けた手塚治虫さんは、まだ昭和30年代~40年代の作品に多く戦争や争いごとの無意味さ、それによって失われる大切なものを描き続けました。
いわば「ロミオとジュリエット」のラストに通じるものがあります。
ですから、ラストカットは・・・
1ページぶち抜きの、平和へのメッセージです。
こどもマンガと思って読んでいたら、ストーリーや展開はこども向けであつてもメッセージは大人も含めて永遠なんだ、と実感しました。手塚治虫さんのすごいところです。
親子で読む「手塚治虫」漫画推薦本、しばらく発掘してみようと思います。
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