一語一映Ⅲ

高知市の美容室リグレッタの八木勝二が、映画や本のこと、ランチなど綴ります。

昭和の映画レビュー 「ベイビー・トーク」「異常性愛記録ハレンチ」「十八歳、海へ」


★★★★★・・・なにを置いてもレンタル店へ走ろう ←新設しました
★★★★・・・絶対オススメ 
★★★・・・一見の価値あり
★★・・・悪くはないけれど・・ 
★・・・私は薦めない 
☆・・・おまけ

※本編の内容に触れる個所がありますから、観られていない方は、ご注意ください。


『ベイビー・トーク』


1989年 アメリカ映画 93分

「サタデーナイト・フィーバー」「グリース」で一世を風靡したトラボルタが
「パルプ・フィクション」で再フィーバーする間に出演した、コメディーシリーズの1作目です。

赤ちゃんの心の声を聞けたら?という発想で生まれたストーリー展開が軽快で楽しく、
気楽にハッピーな気持ちになれる映画です。
その赤ちゃんマイキーの声を担当したのが、「ダイ・ハード」のブルース・ウィリスだったのも大受けでした。
本来かわいい声を想像する吹き替えを「死んでも死なない奴(=ダイハード)」が演じたのですから、
日本で言えば、昔なら三船敏郎、今なら舘ひろしあたりが、赤ちゃんの吹き替えをやったようなものなんです。日本語の吹き替え版では、所ジョージが器用にこなしていますが、
英語音声、日本語字幕で出来たらご覧下さい。笑いが倍増します。

子どもにとって親とは?母親にとって大切なハートナーとは?
そんなこともちょっぴり考えてしまう爆笑コメディです。大ヒットして3作目まで作られました。
マイキーが最後に一言だけ発します。さてその言葉とは?ここは英語版でないとわかりにくいです。
個人的には、ファーストシーンとラストシーンに流れる精子の競争シーンが大好きです。
★★★

『異常性愛記録ハレンチ』


こんなの見てんだって、タイトルだけで言わないで下さいね。
東映が本作の石井輝男監督やコメディタッチの鈴木則文監督たちが
活躍したいわゆる「エログロ路線」の1本に入れられる映画なのですが、
見ていて、俳優さんのなりきり度、現代の入り乱れた性風俗を予言するような内容。

いち早く、ストーカー事件を題材にしているところ、なかなか見所満載なのです。
もちろん1969年の作品ですから、今のように露骨な描写ではなく、監督自身が
脚本を書いて、当時の「異常性愛」をオンパレードで紹介した映画なのです。

興味本位で見ても楽しいし、若杉英二のストーカー役のきわどいこと、すごいこと。
これだけでも一見の価値があります。
ただ、映画の内容としては、それほど語られるものはありません。★★


『十八歳、海へ』

青春映画の巨匠・藤田敏八監督がメガホンを取った中上健次原作の文芸作品です。
1979年の日活作品です。
日活にいて、ほとんどロマンポルノを撮らないで生き抜けてきた監督です。
代表作は「八月の濡れた砂」「赤ちょうちん」「妹」「修羅雪姫」「帰らざる日々」などです。

この作品は、中後期に当たる作品で、予備校のビリな名永島敏行と、トップの森下愛子が
知り合い、愛し合い、しらけた関係なのに嫉妬したり、裏切ったりの挙句自殺ごっこをはじめます。
最初は石を服につめて、どこまで海に入っていけるかから始まった自殺ごっこでしたが
家庭環境への反発から、睡眠薬自殺未遂を繰り返したりして、いろんな人を巻き込んでしまいます。

若き小林薫もその一人で、ふたりに付き合いながら振り回されます。
何度も、繰り返していた自殺ごっこが、だんだんと限界に近い心中ごっこになって行きます。

小林薫は助演扱いですが、本当は中心人物で、初々しい演技が
今の小林と比べてしまい、つい笑ってしまうほどです。

ある夏の1ページ、という描かれ方ですが、残念ながら
中途半端さが捨て切れず、しまらない109分となり、残念な作品となりました。★★