一語一映Ⅲ

高知市の美容室リグレッタの八木勝二が、映画や本のこと、ランチなど綴ります。

昭和の映画レビュー 「ミスター・ルーキー」「コント55号とミーコの絶体絶命」「バニシング・ポイント」

★★★★・・・絶対オススメ 
★★★・・・一見の価値あり
★★・・・悪くはないけれど・・ 
★・・・私は薦めない 
☆・・・おまけ

※本編の内容に触れる個所がありますから、観られていない方は、ご注意ください。


『ミスター・ルーキー』


主演が長嶋一茂さんで、剛速球投手に扮して阪神が優勝する野球映画とだけ
聞いたら、この時点で、多くのファンは不安になってしまうでしょう。

ところがどっこい、なかなか行けます。
ドラマは、昼間はサラリーマン、夜は甲子園球場だけで登場する押さえのルーキー
長嶋一茂さんが演じるタイガーマスクのピッチャーと来たら、マンガチックな映画を
連想しませんか?

ま、阪神超低迷期の時に作られた映画ですから、阪神優勝願望のための
「ドリーム・ムービー」なところもありますが、実は実名選手
阪神の主な当時のレギュラーに、元阪神の中西、田淵、バースなどが登場し
ライバルの東京の4番バッター役に役者としての元祖満塁男・駒田徳広さんが出演。
見事な役者ぶりですよ。

ほかの野球シーンも近畿地区のノンプロのチームの選手が全面的に出演しているので
野球のプレーシーンが今まで見た野球映画の中で一番だったのですよ。

ほかのところはかなり甘くして、野球シーンの迫力に乾杯!!  ★★


『コント55号とミーコの絶体絶命』


コント55号は欽ちゃんと二郎さん(故人)が組んで一生を風靡したコントのコンビ。
当時はドリフターズと人気を二分しており、盆暮れの映画にも引っ張りだこだったわけです。

1968〜1972年までの期間に10本を越える映画に出演しています。
全部、2本だての添え物の感がありましたが、こっちのほうが面白いぞ、という感じでした。

東宝と松竹で出ており、東宝ではややスプラスチックなコメディを、
松竹では、人情コメディを撮っていました。
本作は松竹もので、基本松竹ものでは監督は大監督になる前の野村芳太郎さんです。
野村監督はのちに、「鬼畜」「砂の器」「八つ墓村」を作る巨匠になります。

ミーコとは、当代切ってのアイドル・由美かおるさん。
マドンナをめぐる恋の攻防は基本路線ですね。
二人とも振られるのは、常で、由美かおるさんを射止める医師役になかにし礼さん。

和田アキ子さんも、若いよ。
みんな若いです。
若い気分に戻って見たら、なかなか面白いんです。 ★★



『バニシング・ポイント』


1971年のアメリカ・ニューシネマの終わりを飾る作品といってもいいのではないでしょうか?
元ベトナム戦争の兵士で、警察官になり、その後レーサーになる・・・
そして運び屋になるという当時にありがちな、変遷を経た主人公コワルスキーにB・ニューマン。
このヒーローは、「タクシー・ドライバー」に通じていきます。

ふとしたことから、デンバー―サンフランシスコを15時間で車をはごんで見せると賭けをし、
爆走を開始するが、当然警察に追われる羽目に。
盲目の黒人DJがラジオを通じて、逃走劇を応援し始めます。

最初見たときは中2だったので、ただただカーチェイスのアクションがすごいということと
全裸でバイクに乗る(ポスター左下)女性のことが気になって新かなかったのですが
改めて見直すと、一切CGのない、本物の爆走、車の横転、爆発に驚きつつ
当時のニューシネマの要素が全部入っていることに驚きました。
ベトナム戦争、人種差別、ヒッピー文化、麻薬、虚無・・・

車好きにも応えられない映画ですね。

近頃再評価されている作品です。  ★★★★