一語一映Ⅲ

高知市の美容室リグレッタの八木勝二が、映画や本のこと、ランチなど綴ります。

昭和の映画レビュー 「荒野の七人」「青い体験」「妻は告白する」


★★★★★・・・なにを置いてもレンタル店へ走ろう ←新設しました
★★★★・・・絶対オススメ 
★★★・・・一見の価値あり
★★・・・悪くはないけれど・・ 
★・・・私は薦めない 
☆・・・おまけ

※本編の内容に触れる個所がありますから、観られていない方は、ご注意ください。


『荒野の七人』


1960年のこの作品、ご存知のように黒澤明監督の「七人の侍」の
正式な翻案版の映画です。見事に西部劇になっています。

侍はガンマンであり、農民はメキシコ人です。
2時間少しと長くはありませんが、軽快なテーマ曲とともに
ユル・ブリンナー以下、スティーブ・マックイーンぐらいが知られた俳優で
あとの、チャールズ・ブロンソン、ジェームス・コバーン、ロバート・ヴォーンなどは
この作品から巣立つのです。

ちなみに、このポスターはリバイバル時のものです。
なぜって?この作品のときのブロンソンはまだ「ヒゲなし」だったんですが、
「さらば友よ」でヒゲを生やし、大当たりした後のリバイバルから、
「あのヒゲのブロンソン」とわかるように、ポスターにヒゲが加わったのですよ。

これだけの個性を引き出した映画にしたジョン・スタージェス監督は3年後
このメンバーに個性派をもっとくっつけて「大脱走」を撮ります。

きっと僕が繰り返し見た映画の回数では「エクソシスト」とともに1番かもしれません。
ただ、45年以上ずっと見続けているのは、この作品です。

西部劇なんて嫌い、という人もこれだけは是非ご覧くださいな。
続編は3作ありますが、どれも取るに足りません。
最後のほうは、ガンマンが7人いるというだけになっています、笑。
★★★★★

『青い体験』


イタリアの艶笑コメディの中でもひときわ、輝きを放ち続けているのは
未亡人のあとに家政婦に入って、父親も息子たちもまだ幼い彼までもとりこにしてしまうという
往年のテレビの名作「お荷物小荷物」を髣髴とさせる設定にあるのでしょう。

ラウラ・アントネッリというだけで、いまだに「エロスの化身」のような響きに聞こえるのは、
エマニエル夫人を演じたシルヴィア・クリステル並みなんですよ。

改めてみたら、そんなにエロくはありませんでした。
でも、ラウラはめちゃくちゃ印象に残り、エロく記憶に残ります。

これがこの映画の不思議なところです。
ほかの作品でも、わけわからずエロい。
頭の中、あんまり常識が詰っていない人みたいな感じなんです。
★★


『妻は告白する』


昭和36年の作品です。
モノクロ映画ですが、この映画はすごいです。
何がすごいかって、タイトルだけではありませんよ。

増村保造+若尾文子の20本に余る作品のうち、若尾さんが「清作の妻」と並んで
「私の代表作です」という作品だからです。
今まで見た何作かもものすごいインパクトだったんですが、
この作品の、若尾さんの「魔性」というのでしょうか、愛する女の情念と行動の
本当の姿はどれなんだと、最後までわからない作りには驚かされました。

絶壁の山登りで、宙吊りになった嫌な夫のロープを切ったのは
故意なのか、自分の保身かなのか・・・

そして若い恋人との行く末に生命保険を手に入れて浮かれる若尾に放たれた行動は?
裁判シーンと回想が入り交ざる構成には、息もつけず、ラストまで引っ張られます。
次は「清作の妻」を見ますよ。  ★★★★