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一語一映Ⅲ

高知市の美容室リグレッタの八木勝二が、映画や本のこと、ランチなど綴ります。

手塚治虫を読む その2「日本発狂」レビュー

手塚治虫レビュー

日本発狂 (手塚治虫漫画全集)

日本発狂 (手塚治虫漫画全集)


手塚治虫さんが高1コースに1年間描いた連載漫画です。
連載期間は1974年4月号から1975年3月号まで。
僕が高校生で2年生だった期間になりますから1学年下対象だったんですね。

「高1時代」読者だった、僕はこの作品はリアルタイムではなく
大都社から単行本で出されてから、大学生のときに読みました。

この頃流行った「エクソシスト」「ヘルハウス」などのオカルトものなどの
いわゆる流行の影響が大きく出ている作品です。
1973年の「エクソシスト」の影響は大きいのではないかと思われます。


バイト帰りのイッチは深夜に、幽霊の行列を見てしまいます。
そして駅に座ったままのセーラー服の少女も。


家に帰り着いたら、その子が上がりこんでいて、こんな事件になっちゃいます。
幽霊なのに、見えるし、話せる、そんな不思議な体験をします。
くるみの身の上話を聞くにつけ、イッチは同情して何とかしようとします。


ところが、唯一の見方であった新聞記者本田が死んでしまい、
死後の世界からしか、連絡が取れなくなってしまうのです。


本田の同僚の記者たちを下田警部が連れてきたシーンです。
この中には、石ノ森章太郎、赤塚不二夫、藤子F不二雄、藤子不二雄Aがいます。
手塚さん一流のお遊びですね。


死後の世界に潜入するには、自分から死ぬしかないと覚悟したイッチは
死んで本田やくるみに会いに行き、ついに死者の開放を成し遂げます。

そう、死後の世界でも独裁や差別は繰り返されており、
支配下にいた死者たちには、苦役が科せられていたのです。


こうして日本中には死者と生者があふれ、狭い国がいっぱいになってしまいます。
日本中で昼間にも幽霊が歩いているという「日本発狂」のタイトルの意味です。

正直多忙なこの頃には「ブラック・ジャック」や「三つ目が通る」「どろろ」などの
週間少年誌の連載と時期がかぶり、隔週刊誌「ビッグコミック」にも連載し、
月刊誌にもという手塚さんが最も漫画を量産した時期の作品です。
途中で「日本発狂」という大げさなタイトルに応えられない内容になっているところもあります。

でも、手塚さんの死生観が現れている珍しい作品であり、
懸命に生き(死んでいるんですが)、恋までしてしまい戦う、幽霊たちがいとおしい作品なのです。


ラストシーンがこちら。
初めて、くるみと出会う駅のシーンがほぼ再現させています。

生まれ変わりを望んだ二人が再開した瞬間なのです。

あなたには、昔、どこかで会ったような気がする出逢いを感じることはありませんか。
そんな思いが、とても素敵に思える物語です。


個人的には、この「くるみ」という亡くなった女の子が好きでしたねぇ。懐かしい。
サンデーコミックスと、全集文庫で手に入ります。