一語一映Ⅲ

高知市の美容室リグレッタの八木勝二が、映画や本のこと、ランチなど綴ります。

【手塚治虫を読む】その11 「白いパイロット」レビュー

ブログランキングに登録しました。
一日1ポチッで応援してください。
   ↓


高知県 ブログランキングへ 

 

今回は 『白いパイロット』 です。

d0162564_1785721.jpg  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは僕が12歳の時に買った「白いパイロット」の1巻です。

このころは、まだ上・下巻というよりは1巻・2巻という方が多かったですね。

小学館から発売された手塚治虫全集の1冊として、初めて触れた思い出は強烈でした。

1961年夏から1962年春まで「週刊少年サンデー」に連載されたものです。

「サンデー」では、「ナンバー7」に続く少年集団活劇SF漫画です。

12歳の時に読んで以来、47年ぶりに読み返してみて・・・・

d0162564_17181146.jpg

絵は、「リボンの騎士」わ思わせる優しく丸っこいタッチですね。

少年少女ものには当時好んで使っていたタッチです。

ミグルシャ国の科学者が人間複製機械を発明して、自分のこどもを実験台にして成功した直後、悪の手先に殺されてしまいます。

d0162564_17147100.jpg

その護送車に偶然通りかかった王妃は、亡くした王子の代わりにと一人を選んで連れてしまいます。すごくおとぎ話のような展開です。

そして一人はマルス王子として、一人は奴隷の子・伴大助として地下で暮らします。
そう伴と言えばヒゲオヤジの名字、囚われのヒゲオヤジの養子となるわけです。

「王子と乞食」のイメージですね。

d0162564_17191149.jpg

伴と言えば、そう。
ヒゲオヤジの本名です。

12年間取れない鉄仮面をはめられて、大助はヒゲオヤジの息子として育ちます。
ここらあたりは「鉄仮面」も入ってきます。

d0162564_17205370.jpg

こんな、お遊びのような実験的コマ割りを、時々手塚治虫さんは見せます。

とても斬新な映画的コマ落とし的アングルのようです。

d0162564_17224239.jpg

地下の奴隷工場から脱走に成功した、大助たちは、出来たばかりの「ハリケーン号」を奪い、逃走に成功します。

そして「白いパイロット」として悪のミグルシャ帝国と闘います。

ミグルシャ=「見苦しゃ」なんでしょうかね?発想は(笑)

d0162564_17261947.jpg

2ページぶち抜きの、こういう画面。

鉄腕アトムの「7つの威力」の解説を思い出します。

のちに「サイボーグ009」にも、こういう解剖図のようなものは影響しています。

こども心に、ウキウキするものなんですね。

d0162564_1728270.jpg

敵のメカも、縞模様でやたら強いタイガーや、ゴムでできた戦闘機スネーク、飛行ロボット「ロボケット」、マルス王子が指揮をするモスラもどきの「13号」と少年の心をくすぐります。

d0162564_17305643.jpg

ラストの結末は、複製された片方が、溶けていくところで終わります。

戦争の無意味さを描き続けた手塚治虫さんは、まだ昭和30年代~40年代の作品に多く戦争や争いごとの無意味さ、それによって失われる大切なものを描き続けました。

いわば「ロミオとジュリエット」のラストに通じるものがあります。

ですから、ラストカットは・・・

d0162564_17341111.jpg

1ページぶち抜きの、平和へのメッセージです。

こどもマンガと思って読んでいたら、ストーリーや展開はこども向けであつてもメッセージは大人も含めて永遠なんだ、と実感しました。手塚治虫さんのすごいところです。

親子で読む「手塚治虫」漫画推薦本、しばらく発掘してみようと思います。

 

ブログランキングに登録しました。
一日1ポチッで応援してください。
   ↓


高知県 ブログランキングへ