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一語一映Ⅲ

高知市の美容室リグレッタの八木勝二が、映画や本のこと、ランチなど綴ります。

手塚治虫を読む その12 「百物語」レビュー

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出典は「ファウスト」から 

ずいぶん以前に、別のブログの中で「手塚治虫さん作品マイベスト10」というのをやりましたが、
今回改めて読み返して、「これを忘れていた!!」と思い直したのがこれ「百物語」です。


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この表紙は、少年ジャンプコミックスのもの。当然今は廃版になっています。
この「百物語」は週間少年ジャンプに4回に分けて連載された全1巻の物語です。
下敷きは、古典「ファウスト」から。

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仕えていた一人の家老の汚職事件で、手下として切腹を命ぜられたそろばん侍は、 切腹の期に際してもじたばた抵抗します。このあたりのテンポは快調で、あの時代の手塚治虫さんの少年誌で見られた乗りの真骨頂です。

そこに現れた悪魔と「三つの願いを叶えられたら、魂をもらう」という契約を交わします。

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こんなおふざけも、この頃の手塚漫画にはよく登場します。
少年ジャンプだったので「ハレンチ学園」のヒゲゴジラなんか登場します。
ドラキュラは、のちの「ドン・ドラキュラ」と原型でしょうか・・・

関係ないパロディがよく出てくるのは昔からの手塚手法ですが、この作品では特に多い気がします。

三つの願いとは、

「絶世の美男に生まれ変わること。」
「世界一の美女を自分のものにすること」
「一国一城の主になること」

戦国時代の男としては、当たり前の「願い」だったのかもしれません。
「一国一城の主」昔は本当の城主だったんですものね。

 

パロディ満載 

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仁侠映画の高倉健さん、いやこれは鶴田浩二さんも登場します。

時代性がわかり、にんまりしてしまいます。
下克上を家老に訴え、ダメ殿を討ち果たして、城主になります。

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本当の天下一の美女は・・・

 

 天下一の美女は「魔物」だったということが分かり、退治したあと、天下一の美女は、一番身近にいたことを思い知る場面。映画なんかでよくありますね。
「美女」というのは、形の美しさだけではなく、心から応援し支えてくれる人のことだと分かります。 

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そしてラストシーン。

再び切腹のシーンに戻り、空へ舞い上がる主人公の魂を追いかけ、捕らえて、
「もう二度と離さない」と抱きしめるシーン。

下手な映画より、よほど印象に残る名シーンなのでした。

手塚治虫さんが締め切りに追われても「見たい映画を見まくった」というエピソードが示すように、少年漫画でも映像作家としての力量を遺憾なく発揮している作品だといえます。