手塚治虫を読む その10 「ドン・ドラキュラ」レビュー
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ご覧のように、この3巻からなる「ドン・ドラキュラ」は秋田書店から発行されています。ということは、「週間少年チャンピオン」への連載だったわけです。
「チャンピオン」と言えば、4年強連載が続いて、手塚さんが「復活ののろし」をあげた「ブラック・ジャック」が有名ですが、実はこの作品、「ブラック・ジャック」の連載終了後の昭和54年の5月末から、12月までの半年間連載されたものです。
ファースト・シーンです。
どうしてか(最後まで、理由は明かされませんが)、日本に住み付いたルーマニアから来た ドン・ドラキュラと娘のチョコラが、繰り広げるドタバタ・コメディのです。
このシーンなんかを見ると、「こわいマンガ系」にも見えますが、このあと、ドン・ドラキュラは必ずドジを踏んで、美女の生血にありつけないのです。
娘・チョコラには、「腹なんぞ空いていないわい」と強がりながら、夜中に起き出して カップめんをすする、これが第一回のオチなんですね。
つまり、1話完結のコメデイ漫画なのです。
これは、娘チョコラが変装して、美女の生血を父親にささげるシーンです。
親子愛にも満ちた漫画なんですね。
ドラキュラの弱いもの、と言ったら、ニンニク、十字架、水、くい、日光と決まっていますが、この漫画では何度か敵と対決している時に、朝日を浴びてしまうシーンがあり、灰になってしまいます。
掃除機で吸い集めて、生血と呪文と棺桶とで組成できると言うアイデアにも3分間でという、当時のウルトラマンやカップ麺やレトルト食品の発想が活かされています。
仇敵はヘンシング教授。
はるばるルーマニアからやってきて、チョコラの学校の先生になってしまいますが、
いざ、ドラキャラ退治という時になると、いぼ痔が出てきて、毎回大騒ぎになります。
第1巻の終盤、チョコラの母、つまりドン・ドラキュラの元妻が出てきます。
ファンならご存知の「吸血鬼カーミラ」なのです。うれしくなっちゃいますね、こういうキャスティング。
こういう超映画的コマ割りも、随所に飛び出します。
手塚治虫さんの「映画大好き愛」が随所に見られます。
ドン・ドラキュラが愛した女性が、眠って復活を待っているいる間に結婚してしまった
家庭をコウモリになって眺めるシーンで、マンガ連載は突如終わってしまいます。
ある意味「打ち切り」状態だったようです。
でも僕は、手塚さんの作品群の中で、週刊の1話完結コメディという意味では
「最高傑作」 だと思っております。
パロディや、当時の風俗がとても取り入れられていて、読んでいて楽しいですよ。