一語一映Ⅲ

高知市の美容室リグレッタの八木勝二が、映画や本のこと、ランチなど綴ります。

昭和の映画を見るレビュー 「美しき冒険旅行」「ハイハイ3人娘」「吸血鬼ドラキュラ」

★★★★★・・・なにを置いてもレンタル店へ走ろう ←新設しました
★★★★・・・絶対オススメ 
★★★・・・一見の価値あり
★★・・・悪くはないけれど・・ 
★・・・私は薦めない 
☆・・・おまけ

※本編の内容に触れる個所がありますから、観られていない方は、ご注意ください。

「美しき冒険旅行」

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中学校のときに、角川文庫で翻訳されたものを夏休みに読みました。
あの頃の角川文庫の外国文学は、かなりの率で映画化作品の原作小説の翻訳版が出ていて読めました。今でも小説で読んだ「ウエストサイド物語」「レーサー」「さらば恋の日」「彼女と彼」「ファーニィ・ヒル」「ある愛の詩」「禁じられた遊び」「去年の夏」「キャンディ」など・・・。

 

その中でも映画が来てくれて、高知で見られたものと、見られないまま今に至るものがありますが、後者の代表的な作品です。

オーストラリアの真ん中を旅行中に事故で父親を失い、小さい弟と二人で砂漠の真ん中に置き去りにされた姉弟の放浪の旅は険しく・・・というところへ、原住民のアボリジニの青年の成人の儀式「WALKABOUT」に出会います。1年間を砂漠の中で自力で生きるという儀式の最中の少年にです。

 

主演のジェニー・アガターが輝いています。ですからアボリジニの少年も実は恋してしまいます。美しい冒険旅行から一転してしまいますが、アボリジニの少年のイメージには「美しき冒険旅行」として一生心に残ることになりました。監督のニコラス・ローグさんの初監督作です。★★★

 

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「ハイハイ3人娘」

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三人娘と書くと、これは、美空ちばり、江利チエミ、雪村いずみの三人のことで、
3人娘と数字表記になると、中尾ミエ、園まり、伊東ゆかりのことになるんです。

全員が歌って踊れるスターであり、名前がひらがなかカタカナであるという共通点からしても、昭和30年代、40年代に女性歌手に求められるものがわかろうというものですね。

物語は他愛ありません。
中尾ミエたち扮する高校2年生が主人公で、青春をミュージカル調で謳歌していく映画です。この頃はこういうショースタイルの映画が渡辺プロダクションの台頭とともに流行したものです。なんとウエストサイド物語の振り付けにも参加した ラウル・アペルさんが振り付けを担当しており、本格的な香りがするのはその所為でしょうか?

中尾ミエに「好きです、あなたにキスをしたい」という電話の相手を探っていくというストーリーですが、結果犯人はわからないままなのです。
こういうノー天さが、この時代の東宝映画の色ですよねー。でも楽しいですよ。これもひとつの立派な映画の歴史であり、ジャンルなのです。★★★

 

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「吸血鬼ドラキュラ」

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ハマー・プロのドラキュラシリーズの第一作です。

カラー映画で、ハマー・プロの映画独特の色が、ホラー色を醸し出します。

監督テレンス・フィッシャー、主演のドラキュラ伯爵にクリストファー・リーと宿敵ヴァン・ヘルシンク教授にピーター・カッシングという黄金トリオです。
映画館では見たことがありませんが、当時たくさんあったテレビ映画劇場では、何本も見た記憶があります。

今見ても怖くありません。でも作りや恐怖演出は見事なものです。
時代が怖がらなくなったものなのですね。
このあと、フランケンシュタインもの、ドラキュラもの、狼男ものが続々と作られ、ホラー映画はハマー・プロのものという時代に入ります。徹底した低予算と大仰な演技には見るものもあります。★★

 

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