一語一映Ⅲ

高知市の美容室リグレッタの八木勝二が、映画や本のこと、ランチなど綴ります。

昭和の映画を観るレビュー 「いつでも夢を」「白蛇抄」「日本女侠伝・侠客芸者」 

★★★★★・・・なにを置いてもレンタル店へ走ろう ←新設しました
★★★★・・・絶対オススメ 
★★★・・・一見の価値あり
★★・・・悪くはないけれど・・ 
★・・・私は薦めない 
☆・・・おまけ

※本編の内容に触れる個所がありますから、観られていない方は、ご注意ください。

 

1.「いつでも夢を」

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タイトル曲は日本レコード大賞を獲った名曲です。
1962年のことです。

【作詞】佐伯 孝夫
【作曲】吉田 正

星よりひそかに 雨よりやさしく
あの娘はいつも 歌ってる
声が聞こえる 淋しい胸に
涙に濡れた この胸に
言っているいる お持ちなさいな
いつでも夢を いつでも夢を
星よりひそかに 雨よりやさしく
あの娘はいつも 歌ってる

歩いて歩いて 悲しい夜更けも
あの娘の声は 流れ来る
すすり泣いてる この顔上げて
きいてる歌の 懐かしさ
言っているいる お持ちなさいな
いつでも夢を いつでも夢を
歩いて歩いて 悲しい夜更けも
あの娘の声は 流れ来る

言っているいる お持ちなさいな
いつでも夢を いつでも夢を
はかない涙を うれしい涙に
あの娘はかえる 歌声で

 

この曲にすべての希望が詰まっていますよね。
貧しい戦後(・・・と言っても、もう17年経っていますが、本格的復興はこれから)の庶民の青春を明るくさわやかに描き、大ヒットになった映画です。

肉体労働から知的労働への変化の時代です。
橋幸夫は、トラックの運転手、浜田光夫は定時制高校に行きながら、一流会社に就職を夢見る青年、吉永小百合はふたりにあこがれられながら、正看を目指す看護婦さん。みんなに純粋な夢があり、希望があります。それに立ちはだかる格差差別の壁。

レコード大賞を獲った11日後に映画館で封切りされています。
貧しくとも希望に燃えていた日本だったのですねー。僕が4歳の頃の東京が舞台でする高知なんてどれだけ田舎だったんだろうと、想像してみるだけでも楽しいですね。

★★★

 

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2.「白蛇抄」

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感じるから、女。
ルミ子いま、謎めいて・・・

というポスターに書かれたキャッチのように小柳ルミ子のための映画です。
1982年6月5日に公開された『鬼龍院花子の生涯』大ヒットで、東映は文芸原作に女優たちのエロティシズムという鉱脈を見出し、新たな“女性文芸大作路線”を確立しましたた。その中での1作品ですね。
原作は、「若狭とお寺と執念」といえば、作家・水上勉氏の同名小説です。
代表作「雁の寺」にとても似た構図の映画です。エロな坊主に、よりどころを失った女、そして修行中の青年僧の悶々の日々、そして起こる事件-。

脳障害を抱え半身不随の住職に、若山富三郎、若い僧に杉本哲太(映画デビュー)、ルミ子を追い、執拗に付きまとい果てには、虜になってしまう刑事に、夏八木勲。
ルミ子さんは体当たり演技で、日本アカデミー賞主演女優賞を獲得、杉本哲太も新人賞を獲得しています。全編見たら、

「感じるから、女。ルミ子いま、謎めいて・・・」の深い意味がよくわかります。★★

 

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3.「日本女侠伝・侠客芸者」

 

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藤純子主演の、作品で、高倉健さんの主演です。
ポスターをよく見てくださいね。
シリーズ1作目なのに、「藤純子の新シリーズ」なんですよ。
この看板役者二人を出して、外れる筈がないという東映の自信が伺えます。

時代は明治後期の、九州の炭鉱での、利権争いの物語です。

藤純子さんは、非博徒のような立ち回りはありません。芸者役ですから芸はたくさん見せてくれます。これが結構見所ですなんですねー 。タイトルバックの踊りから随所に見せる舞踊は見所満載です。

そして、酒の飲めない健さんに代わって、一升酒を大杯で飲み干す鉄火芸者ぶり、かなりいいですよねー。今仮にこのシリーズがリメイクになっても代わってやれる女優は見当たりませんよ。

最後は、不条理に耐えて耐え抜いた健さんの怒りの殴り込みに収斂します。

山下耕作監督は名作「関の弥太ッぺ」を作った監督です。仁侠映画のマキノ雅弘監督とはまた違う哀愁がにじみ出るのは、「関の弥太ッぺ」のラストに似ていますね。

★★★

 

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