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一語一映Ⅲ

高知市の美容室リグレッタの八木勝二が、映画や本のこと、ランチなど綴ります。

キネマ旬報ベストテン鑑賞レビュー 「ペーパー・ムーン」「祭りの準備」

映画マイラブ キネマ旬報 DVD鑑賞

★★★★★・・・なにを置いてもレンタル店へ走ろう ←新設しました
★★★★・・・絶対オススメ 
★★★このコラムではこれ以下はありません。

※本編の内容に触れる個所がありますから、観られていない方は、ご注意ください。


『ペーパー・ムーン』


1974年外国映画第5位、アメリカ映画・パラマウント映画、103分 モノクロ
監督=ピーター・ボグダノビッチ、脚本=アルヴィン・サージェント、撮影=ラズロ・コヴァックス
出演=ライアン・オニール、テイタム・オニール、 マデリーン・カーン

(ストーリー)
1935年の大恐慌期のアメリカ中西部。聖書を売り付けては人をだまし、小金を稼ぐ詐欺師のモーゼが、亡くなった恋人の娘アディと出会う。彼は嫌々ながら彼女を親戚の家まで送り届ける事になったが、アディは大人顔負けに頭の回転が速く、モーゼは相棒として旅を続けることになる。いつしかふたりの間に本物の親子のような愛情が芽生えていく。

しかし、モーゼの前にダンサーだという白人の女が現れる。アディはこのままでは自分が見捨てられると不安になり、思い切った行動で女と引き離すことに成功する。モーゼはがっかりしながらも、休暇のせいで所持金が少なくなったことを気にかけ、また詐欺を仕掛けることにした。偶然にも酒の密売人を見つけ、取引を持ちかけると商談は成立。モーゼは事前に密売人の酒をごっそりと盗み出し、それをまた密売人に売りつけたのだった。しかし、話を聞きつけた警官が猛スピードのパトカーで迫ってくる・・・・・・。

(鑑賞)
「ある愛の詩」でスターの仲間入りをした、ライアン・オニールと、娘のテイタム・オニールの共演作です。
驚いたのは、先に決まったのは、テイタムだったという事実を知った時です。

監督ボグダノビッチが「ラスト・ショー」「おかしなおかしな大追跡」のヒットに続いて選んだ作品です。
企画ありき、女優ありきから、前作で組んだライアン・オニールに話が回ったというのも
テイタムからライアンというのも面白いなあと、制作秘話を聞いていました。

なんといっても見所は、この年のアカデミー助演女優賞の候補5人に選ばれた
テイタムとライアンの憧れの女性に扮するマデリーン・カーンのダブル・ノミネートですね。
結果テイタムは、10歳にしてアカデミー賞女優となりますが、この演技にはほんと舌を巻きます。
この10歳でのアカデミー賞受賞という記録はいまだ破られていません。

次々と出てくるテイタムのアドリブの詐欺の手口、これが第一に面白く、
踊り子のマデリーンに惚れて旅行きを共にする軽薄な大人のライアンも好演です。
密造酒をかっぱらって、大もうけという企みは失敗に終わりますが、
一人さびしく旅立つライアンに、テイタムが言う言葉がラストシーンで、にやりと出来て
とてもハッピーになれるラストシーンです。

高2の文化祭で、このペーパー・ムーンを作り写真を撮って売りました。
なかなか好評でしたよ。  ★★★★


『祭りの準備』


1975年日本映画2位、ATG映画 117分
監督=黒木和雄、原作・脚本=中島丈博、音楽=松村禎三
出演=江藤潤、竹下景子、原田芳雄、馬淵晴子、ハナ肇、杉本美樹、桂木梨江

(解説)
本作で脚本も担当している中島丈博の半自伝的小説を、「竜馬暗殺」の黒木和雄監督が映画化。南国土佐の自然を背景に、一人の青年が様々な経験を通して成長するさまを描いたドラマ。昭和30年代初頭。町の信用金庫に勤める20歳の楯男には、シナリオ作家になるという夢があった。そんな楯男にとってひそかに想いを寄せる存在が幼なじみの涼子だった。しかし、涼子には恋人がいて、どうすることもできない楯男は、隣家の精神異常の娘と寝てしまう……。

(鑑賞)
高校3年生の3月に見たものですから、自分の大学への上洛と重なり、
わが青春のベスト1作品として君臨することになった、中村を舞台にした青春の出発(だびだち)物です。

高知からは、脚本の中島丈博さんと、製作の大御所・大塚和さん。
予算もATG映画だけあって、多くはかけていませんが、竹下景子さんのデビュー作でもあり、新鮮です。

シナリオ作家を目指す主人公が高校を卒業して地元の(幡多)信用金庫に就職するも
夢が捨てられず、恋もし、奇妙な近所の住人や、よその女のところへ泊まる父親や、
死に際に老いらくの恋を果たす祖父など、コメディかと思わせるほどの田舎にありそうな
痴話がどんどんエピソードに加わってきます。

中でも、原田芳雄さんのトシちゃんの存在と演技、
地元にしつかりはまっている駐在さんの森本レオの演技と思えない演技には感動しましたよ。

ラストで、仕事をやめ家出して上京する主人公に、窪川駅で出くわした原田芳雄さんが
なけなしの金を与え、指名手配中にもかかわらず、見送りながら絶叫する「ばんざ〜い!!」の声。
主人公の顔は、晴れがましくなく、一人になった不安な顔がラストシーンになる余韻がとても響きました。

※ちなみにポスターにもあり、劇中にも何度も出てくる赤い襤褸。
これは「意味なし」なんだそうです。評論家に「なんだ?」と思わせたくて、と述懐されていました(笑)。

この映画は、マイ地元映画№1にして、僕の生涯のベスト3にも入っている日本映画です。
★★★★★