一語一映Ⅲ

高知市の美容室リグレッタの八木勝二が、映画や本のこと、ランチなど綴ります。

キネマ旬報ベストテン鑑賞レビュー 「アラビアのロレンス」「七人の侍」

★★★★★・・・なにを置いてもレンタル店へ走ろう ←新設しました
★★★★・・・絶対オススメ 
★★★・・・一見の価値あり
★★・・・悪くはないけれど・・ 
★・・・私は薦めない 
☆・・・おまけ

※本編の内容に触れる個所がありますから、観られていない方は、ご注意ください。


『アラビアのロレンス』


1962年外国映画第1位 イギリス作品 3時間48分
監督=デビッド・リーン、脚本=ロバート・ボルト、音楽=モーリス・ジャール
出演=ピーター・オトゥール、オマー・シャリフ、アレック・ギネス、アンソニー・クィン、アンソニー・クェイル

洋画のマイ・ベスト1作品です。
中2の時、リバイバルで短縮版でしたが、見て感動しすぎました。
後年完全版ができるまでに、スピルバーグやルーカスが動いたというのは有名な話です。
228分版は彼らによって修復され、またそれが素晴らしく仕上がっていました。

完全版ができて、長くなりましたが、一分の隙もない映画です。
70ミリの大画面に砂漠をあんなにキレイに描いた映画はありませんし、
最も成功した70ミリ映画ともいえるでしょう。
監督・脚本・音楽・俳優・撮影、全てがこれほど一方向を向いて仕上がった作品をほかに知りません。

ピーター・オトゥールはデビュー作でなければ、オスカーは確実に獲ったでしょうが
同年に、大根といわれていたグレゴリー・ペックが「アラバマ物語」で名演を見せるものですから
一気に獲ってしまったのです。以来、アカデミー主演男優候補の常連となるが受賞せず。
のちに名誉賞をとりますが、その後に「主演男優候補」になるという快挙を成し遂げています。

この映画の素晴らしさの一つは、輪廻転生つながりの映画なんですね。
見事なファーストシーンとラストシーンのつながり。
これがこの映画の全てかもしれません。

英雄とたたえられたロレンスは戦争に翻弄され、やりたいことをやりつつも
結果、道具として扱われ、消耗品として利用される悲劇もあります。
名作って、一筋縄では語れないものですね。

ちなみに、リグレッタの社名は、株式会社ロレンスです。
言うまでもなく、砂漠の英雄からとった名前です。★★★★★+☆


『七人の侍』


1954年日本映画第3位 東宝作品 3時間27分
監督・脚本=黒澤明、脚本=橋本忍、小国英雄、音楽=早坂文雄
出演=志村喬、三船敏郎、宮口精二、稲葉義男、千秋実、木村功、加藤大介

僕の日本映画オールタイム1位の作品です。
この年の1位、2位は、木下恵介監督が獲っています。
1位が「二十四の瞳」、2位が「女の園」で、それに続く3位にランクインされています。
日本映画のオールタイムベストテンをしたら、いつも「浮雲」「東京物語」と上位3位を競い
世界の映画ベストテンでも1位になったりしたこともある映画です。
映画の評価って、時勢でずいぶんと変わるものなんですね。

白黒で、スタンダード画面で、セリフが聞き取りにくくて、長いという作品ですが
素晴らしいので、是非一度はDVDで見てくださいな。
もしくだらんかったら、レンタル代お出ししますよ、僕が。
正確に理解するために、字幕を出しておいてもいいかもしれません。

超大作です。黒澤監督の執念の映画です。
傑作度はいまさら語るべくもありませんが、「七人の〇〇」「〇〇の7人」というタイトルのは
まず、本作の影響から来ているといっても大げさではありません。

僕が一番好きな侍は、加藤大介の七郎次です。
西部劇の正式リメイク作品「荒野の七人」では、ブロンソンが演じた役割ですね。

僕が一番好きなシーンは、
菊千代が「侍と百姓の旗」を立てたとき、たなびく旗の向こうから野党が不気味に現れ
侍と百姓たちが臨戦態勢をとる1シーンで納めたカットです。
この作品も語りだしたら尽きませんね。
★★★★★でも足りないくらい。