一語一映Ⅲ

高知市の美容室リグレッタの八木勝二が、映画や本のこと、ランチなど綴ります。

キネマ旬報ベストテン鑑賞レビュー 「サウンド・オブ・ミュージック」「秋津温泉」

★★★★★・・・なにを置いてもレンタル店へ走ろう ←新設しました
★★★★・・・絶対オススメ 
★★★・・・一見の価値あり
★★・・・悪くはないけれど・・ 
★・・・私は薦めない 
☆・・・おまけ

※本編の内容に触れる個所がありますから、観られていない方は、ご注意ください。



【サウンド・オブ・ミュージック】

1965年外国映画第9位、アメリカ映画、20世紀フォックス、174分
監督=ロバート・ワイズ、脚本=アーネスト・レーマン
主演=ジュリー・アンドリュース、クリストファー・プラマー、エレノア・パーカー

(ストーリー)
誰でも知っている、トラップ家の物語に付き、省略。

(感想)
マイベスト10に入れる人がたくさん居るほど人気のある名作映画なのに、
この年の外国映画9位にまずは驚きましたよ。
因みに、この年のベスト10を調べてみると

外国映画
第1位 81/2 監督:フェデリコ・フェリーニ
第2位 明日に生きる 監督:マリオ・モニチェリ
第3位 野望の系列 監督:オットー・プレミンジャー
第4位 柔らかい肌 監督:フランソワ・トリュフォー
第5位 メリー・ポピンズ 監督:ロバート・スティーブンソン
第6位 コレクター 監督:ウィリアム・ワイラー
第7位 その男ゾルバ 監督:マイケル・カコヤニス
第8位 赤い砂漠 監督:ミケランジェロ・アントニオーニ
第9位 サウンド・オブ・ミュージック 監督:ロバート・ワイズ
第10位 素晴らしきヒコーキ野郎 監督:ケン・アナキン

という風に、なっていました。
ベスト10は時代性が影響するものではありますが
(「東京物語」も1953年の2位、「七人の侍」においては1954年の4位ということで)、
「サウンド・オブ・ミュージック」の9位には驚きました。

どうも映画に芸術性を多く求めていた時代背景であることは間違いないでしょう。
芸術的=名作、娯楽性が高い=大衆映画という感じですね。

メリー・ポピンズが同じ年のベスト10で5位に入っているのもご愛嬌ですかすが、
もしかして、ジュリー・アンドリュースがそちらでアカデミー賞主演女優賞をとったせいかも、なんて。

ま、とにかく当時は名作ではなかったわけですよ。
それが段々と評価を上げてきたという珍しい例ですね。

ミュージカルですが、突然歌いだす感が少なく、ドラマの中の展開としての
絶妙な歌曲が多いもので、歌なのか突然ミュージカルなのかわからない部分も
ミュージカル苦手派にも取り込まれたのでしょうね。★★★★★



【秋津温泉】

1962年日本映画10位 松竹、112分
監督・脚本=吉田喜重、主演=岡田茉莉子、長門裕之、山村聡、宇野重吉

(ストーリー)
太平洋戦争中、生きる気力を無くした一人の青年、河本周作は死に場所を求めてふらりと秋津温泉にくる。結核に冒されている河本は、温泉で倒れたところを、温泉宿の女将の娘、新子の介護によって元気を取り戻す。そして、終戦。玉音放送を聞いて涙する純粋な新子に心打たれた河本は、やがて生きる力をとりもどしていく。互いに心惹かれる二人だったが、女将が河本を追い出してしまったために、河本は街に戻る。数年後、秋津に再び現れた河本だが、酒におぼれ、女にだらしない、堕落してしまった河本に、新子はいらだちを覚える。そこで、河本が結婚したことを知った新子は、苦しい河本への思いを捨てきれないまま、河本を送り出す。その後、東京に行くことになった河本は再び秋津を訪れる。一途なまでに河本を思う新子、そして、優柔不断でだらしない河本は再び都会へ。さらに四たび秋津を訪れる河本、そのときには旅館を廃業した新子だったが、河本は新子との肉体の情欲にだけ溺れる。新子は、河本にいっしょに死んでくれと言う。そして最後、河本と別れたあとに、思いつめた新子は手首を剃刀で切るのだった。

(感想)
当時で言うと、松竹ヌーベル・バーグの作品です。
昔からの松竹大船調のホームドラマ、人情ドラマの枠を完全に無視し、
新しい波=フランスでは、ヌーベル・バーグ(フランソワ・トリュフォ監督、ルイ・マル監督、
ジャン・リュック・ゴダール監督、クロード・シャブロル監督、アニエス・ヴェルダ監督等々)と呼ばれ、
アメリカでは、ニューシネマといわれた、過去の概念にとらわれない新しい映画のことを指します。

松竹ヌーベル・バーグは、大島渚、篠田正浩、吉田喜重監督らが並ぶ。

そういう映画ですから、それまでの情緒に収まり切れない冒険が映画の中にちりばめられています。
?河本と新子の引き合い惹かれあいの刹那さ。
?芝居かがったセリフや動作。
?恋愛ドラマにありえなかったカメラワークなど
今見ても、テンポ、セリフ、カット割などが新鮮で古くささを感じさせません。

それにしても長門裕之さんの顔、サザンの桑田さんにほんま似てます。
★★★★