一語一映Ⅲ

高知市の美容室リグレッタの八木勝二が、映画や本のこと、ランチなど綴ります。

キネマ旬報ベストテン観賞レビュー 「ロミオとジュリエット」「絵の中のぼくの村」

★★★★★・・・なにを置いてもレンタル店へ走ろう ←新設しました
★★★★・・・絶対オススメ 
★★★・・・一見の価値あり
★★・・・悪くはないけれど・・ 
★・・・私は薦めない 
☆・・・おまけ

※本編の内容に触れる個所がありますから、観られていない方は、ご注意ください。




【ロミオとジュリエット】


1968年外国映画2位、イギリス+イタリア合作、パラマウント 138分
監督・脚本・フランコ・ゼフィレッリ、主演・オリビア・ハッセー、レナード・ホワイティング

シェイクスピアでも「ハムレット」と並ぶ知名度を誇る悲恋戯曲の代表作。
映画化は、直接モノだけで、1936年から2013年までに7本映画化されていますが、
5本目に当たるこの作品がとどめであることは、誰も異議を唱えないものでありましょう。

なんといっても、原作のロミオは16歳、ジュリエットは14歳なのです。
それを当時17歳のオリビアと18歳のレナードが演じたのは画期的でした。
それまでは、20代より上の人気俳優や、シェイクスピアの舞台俳優が演じた
お堅い悲劇だったからです。

悲劇は悲劇ですが、若い二人の恋愛を、両家の意味のない諍いの歴史を背景に
躍動するキャストたちと、素晴らしい美術・音楽・カメラワークで生き生きと描いた映画です。
だから悲恋というより、純愛物として見られ、純愛が実らず死を選んだ的に解釈してしまいます。

初めて観たのは、1回目のリバイバル時で、「フレンズ」と一緒でした。
1972年のことです(高知宝塚劇場にて)。
LP買いましたよ。プロローグから、舞踏会のシーンのセリフから入っていて、
もう何度も何度も聞きましたよ。でも意外にオリビアの大ファンにはなりませんでした。
映画自体のファンになっちゃいましたね。

オリビア登場扮するジュリエットの登場シーンは鮮烈でしたね。
今朝ドラでやっている「花子とアン」の劇中で上演されたとき、仲間由紀恵が
着ていた衣装、髪型がそっくりだったのは、この名作の影響でしょうねぇ。

1973年にも「ある愛の詩」と2本立てで、土電ホールでリバイバル、
1974年にも「続フレンズ」の公開と2本立ててで、またも土電ホールでリバイバル。
そして1975年にはあの「小さな恋のメロディ」と名画座で究極の2本立て。
こんな風に毎年映画館で見たものだから、すっかり覚えてしまって。
この映画からいろんな英語も覚えてしまいました。

’What is the Youth?’ これが、永遠の命題ですね?
まだ見たことのない人は、★★★★★


【絵の中のぼくの村】


1996年日本映画5位、第46回ベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞。製作・配給・ジグロ、112分。
監督・東陽一、脚本・東陽一、中島丈博、主演・松山翔吾、慶吾、原田美枝子、長塚京三

高知でロケしたご当地映画でも、「祭りの準備」と並ぶ名作映画です。
原作は高知出身の絵本作家・田島征三さんの絵本です。
ふたごの征彦さんは、絵本「じごくのそうべえ」などで有名に作家です。
二人が再開するところから、ドキュメンタリーのように映画は始まり、
昭和23年の高知へとタイムスリップします。

春野町で育った二人らしいですが、ロケ地は春野と吾北村です。
かなり吾北のウエィトが高かったようで、エキストラ100人と記録されています。

僕ら昭和半ばの生まれにうれしいのは、あの頃の生活と風景の再現が見事なこと。
人々の暮らしも空気もあんな感じでしたね。

映画の中にも、悪がきとの戦い、淡い初恋らしきもの、
クラスに一人はいた汚い子でいじめられる子、もらい子や差別。
こういう要素が取り混ざって、全てが自分の思い出のように甦ります。

近所のばあちゃんたちがいつも白髪に杖ついて、腰を曲げ、たむろして
井戸端会議していたシーンもよくあった。あの頃のおばあちゃんって、
いくつだったんだろう?

なんといっても、原田美枝子さんが、大人の女優になった作品なんです。
デビュー「恋は緑の風の中」以来ファンをしているものとしては、驚きの母親演技でした。
これ以降、「演技派」と呼ばれるようになりました。★★★★