一語一映Ⅲ

高知市の美容室リグレッタの八木勝二が、映画や本のこと、ランチなど綴ります。

昭和の映画レビュー 「ゴジラ」「サマータイムキラー」「人間の証明」

今までのブログ「一語一映」は、⇒ こちらです。

★★★★★・・・なにを置いてもレンタル店へ走ろう ←新設しました
★★★★・・・絶対オススメ 
★★★・・・一見の価値あり
★★・・・悪くはないけれど・・ 
★・・・私は薦めない 
☆・・・おまけ

※本編の内容に触れる個所がありますから、観られていない方は、ご注意ください。


『ゴジラ』


1954年の「ゴジラ」第一作です。
もともと小学生の頃は映画嫌いで、東宝特撮映画には全然はまらなかったため、
今回が初見なのでした。

1954年といえば昭和29年ですよ。
海外冒険モノの準備中だった監督・本多猪四郎は、海外ロケ作品を企画中に
ビザの発給が遅れたため、白紙に戻ったといいます。
その年にビキニ環礁での水爆実験が「第五福竜丸事件」として取り上げられ
そこからヒントを得て、水爆が生み出した怪獣としてデビューを博しました。

初見の第一印象は、この時代の複雑な社会構図と、
娯楽としての側面を両方満たしています。

名優・志村喬さんの博士ぶり、平田昭夫さんの黒眼帯の天才博士ぶり、
全てはここから始まったという感じのエキサイティング振りですね。

でも「ゴジラ」のその後を知っているだけに、2作目以降を見たいとは思いませんでした。★★★★



『サマータイムキラー』


1968年の「ロミオとジュリエット」で16歳でデビューし、一世を風靡したオリビア・ハッセーの
1973年の作品です。

これが第3作になるのかな?
この間に、「青い騒音」(未公開DVDのみ発売)をはさんでこの作品です。
日本では大人気を博した「ロミオとジュリエット」がその間に2回ぐらいリバイバルされ
名画座でも何度も上映されたため、当時は、「あ、早くも新作」という感じでした。

「ビバ、チャップリン」の第2弾「街の灯」と同時上映で、
無声の名作と。オリビアの新作が一度に見られて、すごく満足したのを覚えています。
共演は、ロバート・ミッチャムの息子、クリス・ミッチャム(このあとどうなったのかな?)です。
同格の共演というより、主演・Cミッチャム、共演・オリビアという感じなのですよ。
なにせ、103分の映画の中で、オリビアが登場するのは最初から34分ごろでやっと。
そしてほぼ真ん中の44分ごろから、せりふと演技が始まるんですよ。
前半は、Cミッチャムの復讐譚で、中盤からロマンスが始まるんですよ。
父を殺された少年が大人になって復讐を始める。その親分の娘だったオリビアを誘拐して
父親をおびき出すために湖上の家に監禁するものの、故意に落ちるという役所なんです。

バイクやカーチェイスなど見所もそこそこあります。
初めて見たときは、誘拐されたのに何で、水着持っててのんきに泳いで、恋に落ちるの?
と不思議でしたが、最近見直してやっと分かりました。
水着と思っていたのは下着で、恋に落ちる理由も、それなりに分かりましたよ。
孤独だったのですよね、二人とも。

刑事役のカール・マルデンがいいところを全部持って言っちゃった感のあるラストです。
ファンには必見ですよ。★★★



『人間の証明』


角川映画の第二作目で「読んでから見るか、見てから読むか?」の
「犬神家の一族」に続く森村誠一さんの名作の映画化です。

「犬神家の一族」が原作を越えたかも?な出来栄えだったので、期待しましたが
こちらは、残念ながら原作を越えることはできませんでした。

でも、脚本の一般公募など、いろんな試みは成功しており、
「映画はエンタテインメント」と定義づけた角川さんの功績は大きいですよ。

脚本の力は「ストウハ・・・」から思い切りイメージを膨らませたこと。
有名な「人間の証明のテーマ」も、西条八十詩集の「麦藁帽子」を英語化して
歌にしてしまったものだし、ニューヨークでのエピソードを付け加えることで
ドラマとしては「戦時中の傷を抱えて生きる人間たちの群像」というテーマに収斂できました。

映画館で見たときの冗長さが今回は感じられなかったのは、
今の映画がだらだら長いのが多いせいでしょうか【笑】? 
松田優作ファンはこれも必見です。 ★★★