一語一映Ⅲ

高知市の美容室リグレッタの八木勝二が、映画や本のこと、ランチなど綴ります。

昭和の映画レビュー 「ナヴィの恋」「ダメおやじ」「12人の優しい日本人」


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★★・・・悪くはないけれど・・ 
★・・・私は薦めない 
☆・・・おまけ

※本編の内容に触れる個所がありますから、観られていない方は、ご注意ください。


『ナヴィの恋』


1999年の映画。昭和の映画ではありませんが・・・
沖縄本島からまだ離れた、栗国島にフェリー(渡船)が来る。
その舟に、東京での生活に疲れて帰ってきた奈々子と、白い服の年配の男が乗っていた。
そんな出だしで始まるこの映画。

沖縄独特の空気とテンポの中で、時々ミュージカルみたいになったり
ドキュメンタリーみたいになったり、かと思うとファンタジーにもなる・・・
自在な中江裕司監督の捌きが、お見事な作品です。
沖縄出身でないと、この空気感は出せなかったでしょうね。

さて主人公の奈々子のおばぁ=ナヴィが、白い服の男と再会し
その男との60年前の昔がメルヘンのように語られる。
ナヴィはいくつになっても、恋する女に返れたんだよ。
北国では成り立たない、ファンタジックな映画。92分。

沖縄音楽も本物ばかりで、得も知れない余韻が残る不思議な映画でしたよ。★★★


『ダメおやじ』


少年サンデーに連載された「ダメおやじ」という漫画の映画化です。1973年作品。
調べてみたら、この「ダメおやじ」の漫画、元々は師匠だった赤塚不二夫さんが代筆していたんですって。
人気が出てきて、当時赤塚さんのアシスタントだった古谷光敏さんが独立して書き出し、大ヒット。
13年間にわたって連載され、ブームに。コミックスは全39巻+社長編4巻からなるようです。

連載から4年目に映画化されたもので、
当時人気絶頂のてんぷくトリオのリーダー・三波伸介さんが主演しています。
伊東四朗さんは、まだブレイク前で、「変なウェイター」役で出ています。

漫画は、高度成長期のまっさなか、出世欲のないダメおやじを、
鬼ババ=映画では、若かりし倍賞美津子さん、がかかあ天下、いや、かかあ関白、
というDV妻を描くギャグ漫画でした。

映画では、ダメおやじと鬼ババの恋愛結婚、そして出世競争に勝たせるための
昇進試験に賭ける夫婦のスパルタ的頑張り、出世した課長の浮気問題などを
絡めて当時の松竹コメディのタッチで展開します。
監督は、この頃コント55号の映画などを撮っていて、のちに「砂の器」などで巨匠となる
野村芳太郎さんです。

あの頃の風土と空気感覚が楽しくて、あっという間に見終わりましたね。
ま、87分と短いんですけども。   ★★★


『12人の優しい日本人』


三谷幸喜さんがまだ舞台だけしていた頃の、脚本と舞台をもとにした
陪審員映画の名作「十二人の怒れる男」にオマージュをささげたパロデイ的コメディ映画です。
1991年の作品で、「櫻の園」「メイク・アップ」「落語娘」の中原俊監督作品です。116分。

事件もギャグです。
夫婦喧嘩をしている、暴力夫が妻を追い回す。
口論の末、夜の国道で妻が夫を突き飛ばす。そこにトラックが来て夫ははねられて死ぬ、
この事件での妻は有罪か、無罪か?

もしも陪審員制度が日本にあったら、という前提で日本人の優柔不断さや、
思い込み、自分の感情を入れすぎたり、他人事には不真面目であったり。

被告人が若くて美人だったことから審議は概ね無罪で始まり、すぐ終わるかに見えましたが、
討論好きの2号が無罪の根拠を一人一人に問い詰めたことから、審議は意外な展開へ。
有罪派と無罪派と分裂、さらに陪審員達の感情までもが入り乱れ、被告人が有罪の線が強くなっていく。
ところがその時、他の者から浮いていた11号が事件の謎解きを推測し始め、
それによって事件の新たなる真実が判明する。そして事態はまたまた二転三転・・・。

こんなコメディです。
有名な俳優さんといえば、1号の塩見三省さんと11号の豊川悦司ぐらいなもので
あとは芸達者なプレイヤーたちが、テンポよく繰り広げるスピード感がたまらないです。

名作というよりは快作。永遠の名画ではないけれど、忘れられない映画。
そんな面白い作品です。★★★★