一語一映Ⅲ

高知市の美容室リグレッタの八木勝二が、映画や本のこと、ランチなど綴ります。

DVDレビュー 「東京家族」「体脂肪計タニタの社員食堂」「煽情」

★★★★★・・・なにを置いてもレンタル店へ走ろう ←新設しました
★★★★・・・絶対オススメ 
★★★・・・一見の価値あり
★★・・・悪くはないけれど・・ 
★・・・私は薦めない 
☆・・・おまけ

※本編の内容に触れる個所がありますから、観られていない方は、ご注意ください。


『東京家族』


山田洋二監督が、名作・小津安二郎監督の「東京物語」に捧げる映画として
舞台を現在に置き換えて作った作品です。

瀬戸内海の離島から東京に出てくる老夫婦(と言っても推定72と68ぐらいの夫婦)が
東京に出てき、娘・息子との交流を描写しながら、子供たちの巣立ちと親たちの気持ちの
すれ違いをじっくり描くものでした。

ひとつ、引っかかるのは、スカイツリーが建っている今の東京なのに、
兄弟姉妹の生活が全て、古めかしく見えること、そして親子関係の描かれ方が
定型の域を出ていないと言うこと。
普遍のものであるといえば、それまでですが、見ていて違和感がありました。

登場人物もみんな古めかしくて、これ昭和の終わりぐらいの感覚じゃない?
山田監督、「東京物語」を意識しすぎたのかしら?と思ってしまうほどです。

俳優も沢山いい人をそろえているのに、ぐっと来ないのは、なぜだろう?
山田監督の世界観が「息子」の頃から、進んでいないからの様な気がしてしまいました。
名匠の世界であることは間違いありません。

でも、一世を風靡した監督の最後のほうの作品の多くに感じられる時代錯誤感は否めない
と感じてしまいました。 

妻夫木くんは、しっかりうまかったよね。
同級生の近森くんがカメラマンとして日本アカデミー賞にもノミネートされました。
  ★★★

『体脂肪計タニタの社員食堂』


超ベストセラーの、まさかの映画化です。
だって、本はレシピ本ですもの。

だから、ストーリーはかなりチンケです。
タニタの次期社長の息子である、副社長は、会社の危機にプロジェクトを作ることにします。
体脂肪計・体重計を売る会社の自分を含むデブ社員が社員食堂のカロリーコントロールだけで
見事にダイエット成功させる3ヶ月プロジェクトに賭ける意気込みを、コメディ調で描きます。

栄養士の優香と、社長の草刈正雄さん以外は、あまり見たことない俳優さんたちで
演技も、演出も笑えないコメディ映画になってしまいました。

お約束の、ダイエットやめる宣言や、また頑張り成功し、会社再生を成し遂げるという
成長ストーリーではあるものの、軽すぎて、面白みに欠けちゃいます。
ですから、この企画は無理。

映画化はしないほうがよかったんでしょうね。 ★★



『煽情』


タイトルやジャケット、惹句につられて見始めたのはいいのですが、
5分ぐらいでもう、見るのやめようかと思いました。
でも、DVDには便利な機能がついていて、1.5倍速ならせりふも
音楽も分かりながら、少し早く見られるのです。

失礼ながら1時間足らず、オール早回しで見終えてしまいました。
そんな映画です。

描きたいことは分かるんです。
少女時代の父親からの虐待的暴力行為がトラウマになり
いくつになって、いつまでも虐待妄想を考えてしまう主人公の女性が
青春時代に、恋愛時代に、結婚して、どう妄想が代わって言ったのかを
描くという野心作なんです。

でも面白くない。
安っぽいホラーもののようなつくりなんですよ。これは借りて損しました。 ★1つ。